江戸末期から明治初期にかけて造られた珊瑚の簪です。
ご依頼主のご先祖は海運業を営まれており、
残されている婚礼写真には、明治の初め
この簪を着用された ご依頼主のおばあ様が写っているそうです。
簪はご仏壇にしまわれ、今日まで伝わってきました。
美しい姿で次世代へ
ご依頼は ≪珊瑚の磨き ≫ もしくは ≪珊瑚の珠替え≫
美しい状態に戻して 次の世代の 息子さん夫婦に譲ることをお望みでした。
ところが、画像で確認いただけますように、珊瑚にはひびが入っております。
今にも割れそうです。
では、新しい珊瑚への珠替え・・・
大きさ16.5mm。
赤系でこれだけの大きさのある珊瑚は 国産の赤珊瑚・血赤珊瑚です。
まず見つからない。見つかってもかなり高額です。
途方にくれた時、
ほんのりピンク色の入った白サンゴが見つかりました。
これを逃すと、いつこの大きさの白珊瑚が手に入るか わからない
深い縁を感じ,
こちらの珊瑚をおすすめさせていただきました。
かんざし本体も古く、今とは作り方、珠留めも違うようです。
職人が 丁寧に丁寧に作業し、新しい珊瑚と交換しました。
そして、
依頼主が願われていたように 元の珊瑚も欠ける事なく、お戻しが出来ました。
今回は幸運にも珊瑚が割れる事なく、新しい珊瑚を入れた簪を
お渡しすることが出来ました。
熟練した職人であっても、難しく神経を使う作業・加工でした。
通常でも、珊瑚の穴開けは割れ易いものです。
ひび入りなら なおさら。 外すのも寿命が縮む作業だったはずです。
毎回、このように無事に納品できるとは限りません。
特別篇として、珊瑚の簪のリフォームを紹介させていただきました。
貴重な品の修復、リフォームに携わることができました。
ご依頼ありがとうがざいました。